総務省が敬老の日に合わせて発表した9月15日の推計人口によると70歳以上の人口が2,017万人となり、初めて2千万人の大台を超えて過去最高記録を更新したようです。
少子高齢化社会は確実に進行しており、日本の労働力人口は減少の一途をたどっています。
そうなると、これまで男性の正社員を中心とした人員構成は維持できなくなってきます。
当然、女性や高齢者の活用も必要になってきます。
そんな中、パートタイマーの処遇を見直す企業も大企業を中心に増えてきています。
その背景には、本年4月より施行された改正パートタイム労働法の影響もあります。
改正パートタイム労働法のポイントは、
1.書面で労働条件の明示すること
①昇給
②賞与
③退職金
についても、書面で通知する必要がある。
2.均衡待遇
正社員と同一職務を担当しており、転勤などの人材活用面でも正社員と同一の
取扱を受ける場合には、賃金などの待遇面で正社員と均衡を図らなければ
ならない。
3.会社の説明義務
パートタイマーから、自分の労働条件・処遇について説明を
求められた場合は、その理由を説明しなければならない。
いくつか改正がある中でこの3つがポイントになっています。
また、正社員への転換制度の設けることなども今回の改正で盛り込まれています。
こういった改正パートタイム労働法の正社員との待遇格差を禁止と正社員転換制度導入義務化などを受け、大手企業(特に小売業・外食産業・金融関係など)では、正社員登用制度の導入をする企業も増えています。
また、パートタイマーの「退職一時金制度」の導入など、処遇面での見直しをしたり、就労環境を整えるといった措置を行う企業も出てきています。
これには改正パートタイム労働法の影響もあるのですが、優秀なパートタイマーの雇用確保をしたい、定着を図りたい、戦力化したいといった意図もあります。
大企業は積極的にパートタイマーの正社員転換制度や人事制度を導入してパートタイマーの定着、活用、戦力化をいうことを行っていますが、中小企業の動きはどうでしょうか?
これは私の私見ではありますが、人事戦略の一環としてパートタイマーの人事制度や就業規則を整備して、積極的にパートタイマーを活用し、戦力化している企業はまだまだ少ない印象を受けます。
株式会社アイデムが刊行している「平成20年版 パートタイム白書」によると
◆働きやすいと感じる職場環境
1.勤務時間や勤務日が自分の都合に合わせられる 70.9%
2.職場の人間関係が良好である 40.8%
3.仕事でわからないことは丁寧に教えてくれる 25.2%
◆働きにくいと感じる職場
1.評価が賃金に反映されない 26.2%
2.仕事ぶりに応じた評価がなされない 17.5%
3.仕事の繁閑によって急な残業や就労時間の短縮が発生する 15.9%
といったアンケート結果になっています。
パートタイマーの場合、家庭や生活面を優先し、自分の都合で働きたいという希望を重視しています。また、正社員も同様ですが、職場での良好な人間関係についても重視する部分です。
一方で、仕事に対する適正な評価やそれに応じた処遇といったことも希望していることがわかります。
また、パートタイマーは正社員に比べて、賞与や退職金の支給がないなど、長期勤務することに対するインセンティブが薄いので、離職や転職することにあまり抵抗を感じないということも言えます。
自分の都合で働くことが難しかったり、職場の人間関係が悪い、頑張っても評価されないということがあれば比較的簡単に辞めてしまいます。
企業がパートタイマーを雇用する理由として
○人件費が安いから
○社会保険料の負担がないから
○曜日や時期的な繁閑に対応できるから
といったことがあげられます。
ただし、今後はそういったパートタイマーをいかに活用し、戦力化していくかが企業の収益体質にも大きく影響してくるでしょう。
中小企業においても今後は、パートタイマーの評価するしくみやそれを賃金に反映させる制度、優秀なパートタイマーについては正社員に登用する制度、教育制度などを
体系的に導入していくことが必要になってくると思います。
パートタイマーの労働条件の通知等の労務管理上の観点から問題がないか?
人材活用について改善すべき点はないか?
是非、見直しの機会を持っっていただきたいと思います。