最近のマスコミ等の報道でも、日本マクドナルドが店長へ残業代を支払うよう8月から給与体系を変更することになったことや、これまで労働者の自主的な活動とされてきたQC活動である「カイゼン」に対し、トヨタは時間外労働をして認め残業代を支払うように変更する等大企業を中心に、残業問題に関する新しい潮流が見られます。
先日弊社主催で開催したセミナーでは、
1.制度面の工夫で残業時間や残業代を削減する方法
2.時間管理を徹底することで、残業時間を削減する方法
大きく分けてこの2つをお伝えしました。
・法定労働時間の枠を目一杯使って所定労働時間を設定する。
・例外として認められている制度を上手く利用して残業時間を減らす。
・定額残業手当等の導入により、予め給与に残業代を組み込んで支給
することにより、実際に支払う残業代を減らす。
等制度面の工夫は非常に重要ですが、それだけで残業問題は解決するものではありません。
むしろ対処療法的な感もあります。
やはり、最も大切なのは、時間管理をしっかりと行い、業務改善をして残業時間自体を減らす取組をしていくことだと
思います。
これは一朝一夕に出来る改善ではなく、ある程度時間がかかってしまうものだとは思います。
残業問題は中小企業にとっても潜在的な大きなリスクです。
・労働者に就労意識の変化により、労働基準監督署への申告や、訴訟リスクが高まっている
・労働基準監督署ではサービス残業等について、重点項目として指導監督を強化してきている
・長時間労働による従業員の健康障害が深刻化してきている
(過労死・過労自殺・うつ病等のメンタルヘルス不全)
このようなリスクが顕在化すれば、会社は大きな損害を被ること
になります。
中小企業だからといって決して、他人事では済まされないことです。
また、名ばかり管理職問題についても触れましたが、マクドナルド事件の後、外食産業や紳士服チェーン店では店長の処遇に関する対応が相次ぎました。
また、厚生労働省も各労働局に管理職問題について指導監督を強化するよう通達を出しています。
この問題は、残業代を払えば済むとか時間外労働を規制すれば解決するといった単純な問題ではなく、労務管理の根幹をゆるがしかねない大きな問題だと思います。
これまで「名ばかり管理職」として処遇してきた中間管理職クラスは会社の中では働き盛りで、稼ぎ頭であり、最も仕事が集中し、長時間労働をしなければならない人材の層でもあります。
一般職に比べ、残業単価が高額であることを考えると、現状の体制のまま残業代を支払うと人件費の高騰は必至です。
今後、人事制度の見直し等も含め、抜本的な改革が必要になるかもしれません。
臭いものにはふたをしろではなく、残業問題は経営課題であると捉え、経営者が率先して改善に取り組む必要があると思います。