ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、ダイバーシティという言葉を聞いてピンと来ますか?
ダイバーシティーは「多様性」という意味らしいのですが、最近は「ダイバーシティ・マネジメント」などという言葉もよく耳にします。
簡単にいうと日本では少子高齢化が急速に進むので、働ける人は男性も女性も、老いも若きも、国籍も関係なく、健常者も障害者も活用していきましょう。また、働き方に対するいろいろな価値観も受け入れていきましょう。というようなことです。
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の都道府県別将来推計人口」データによりますと、
全国の生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)は、平成17年には約8,442万人が平成27年には約7,680万人まで減少、
静岡県の生産労働人口は
平成17年には約247万人が平成27年には約223万人まで減少すると予測されています。
静岡県では平成17年からの10年間に約24万人の生産人口が減少するという計算です。
なんと、沼津市の人口よりも多い数字です!!
それだけ労働市場に出回る人数が減少してしまうということです。
もちろんマーケット自体も縮小しますので、企業は既存のビジネスモデルだと生き残れないということも起きてくるかもしれませんが・・・。
そんな中で、これまでの男性中心の職場、画一的な働き方の見直し、多様な人材が活躍できる環境を作ろうという動きが大企業を中心に起こってきています。
「ダイバーシティー推進室」なるものを発足させ、取り組んでいる大企業もあるようですが、なかなかはっきりとした成果が出ていないというところが現状のようです。
大企業で難航しているなら、中小企業はそんなことできるわけないといった声も聞こえてきそうです。確かにそうかもしれません。
ただし、労働力となる人口は今後どんどんと減少していきます。そんな中で、中小企業では人材を確保することがますます難しい時代になっていくでしょう。何らかの手を打たないと、特色のない中小企業は人材難から企業が存続できなくなるということも起こり得る時代になってきます。
そんな中で女性が活躍できる会社とか、高齢者が生き生きと働いている会社、残業ゼロの会社など、人材活用の特色を明確に打ち出しすことも人材確保の打開策になるかもしれません。
例えば、アメリカにある「パタゴニア」というアウトドアスポーツ用品の会社は、
○勤務時間中であっても、いい波が来ればサーフィンにいってもよい。
○会社の敷地内に託児所があって、母親は仕事中、いつでも子供に会いにいってもよい。
○出産休暇中も満額給与が支給される。
○パタゴニアで働く人は70%近くが女性であり、出産を理由に 会社を辞める人はほとんどいない。
○その結果、超人気企業欠員1名の募集に1,000名くらいの応募がある。
と働き方の多様化や女性の活用等を非常に上手く実現している会社です。
確かにおもしろいけれど、「極端な例だし、そんな特別な会社は全くウチの会社には参考にならない」といった批判も想定しつつ、ご紹介してみました。
大企業ではなく、中小企業だからこそ小回りが利いて、人材活用の面でも特色を出しやすいというメリットもあると思います。
私が以前就業規則の作成をお手伝いをさせていただいた企業は障害者雇用を積極的に行って、行政やマスコミ等でもよく取り上げられていました。実際に障害者の管理職として活躍されている方もいて、健常者・障害者の区分なく社員同士が協力し合う非常に気持ちのよい組織という印象でした。
これまでの日本企業の既成概念である人材といえば、「日本人」「男性」「長期勤続」「長時間労働」「健康」といったものを見直す必要があるかもしれませんね。