メンタルヘルスの悪化により、社員の方が「1ヵ月以上の休養を要する」という医師の診断書を持ってきた場合、休職の扱いにする企業が大半です。
メンタルヘルス不全による休職に対応できるよう自社の就業規則の休職規定を確認してみてください。
□休職は会社の判断で命ずることになっているか?
□休職の判断基準として、会社が指定する医師の診断を受診させることが可能な規定になっているか?
□労務提供が不完全な場合(遅刻やミスが多いなど)でも休職を命ずることができる規定になっているか?
□毎月1度の「病状通信文」を提出する義務づけをしているか?
□「治癒」が復職の要件となっているか?
□復帰にあたっての判断は会社が行うことになっているか?
□復帰の判断基準として、会社が指定する医師の診断を受診させることが可能な規定になっているか?
□休職期間は、妥当か? (中小企業なのに、2年間も休職させることは実質不可能?)
□復職後、短期間で再度休職する場合は期間の通算が可能か?
などです。
※治癒とは、休職前の職務を通常程度行える健康状態に復したとき
特に中小企業などではどうしても個別対応になりがちですが、社内や他の社員への影響を考えると労務管理上、毅然とした対応をしなければならない局面も出てきます。
その際、休職規定がきちんと定められていれば、「就業規則ではこのように規定されているから」ということで、対応することができます。
最近、「休職から復職する場合の注意事項はどんなものがあるか?」というご相談を複数件いただきました。
○復職させる場合の判断基準は?
○復職後は休職前の業務に就かせなければならないのか?
○軽易な仕事に就かせる場合、賃金は減額になってもよいのか?
といった内容です。
休職を命ずることはそれ程難しいことではありませんが、復職をさせるかどうかの判断は非常に難しいです。
復職の判断は会社がしますが、この場合の判断基準として社員の主治医の診断書を鵜呑みにするのは、危険です。
主治医は医師としては専門家ですが、職場の専門家ではありません。
また産業医がいる場合もあるでしょうが、産業医は精神科の専門医でないケースが多いです。
現実的には、主治医が復職に関する診断書を作成する前に会社が当該社員の同意書を持って、主治医と面談し、職場の実情をできる限り伝えておく方がよいでしょう。
いずれにしても、休職については、就業規則上でメンタルヘルス疾患に対応するような規定を細かく定めておく必要があります。