いよいよ労基法改正案が可決されました。
毎日新聞(2008年11月19日)より
月に60時間を超える部分の残業代割増率を50%以上に引き上げる労働基準法改正案が18日、衆院本会議で自民、民主、公明、国民新党などの賛成多数で可決された。今国会中に成立すれば10年4月に施行される。
現行の時間外労働の賃金割増率は一律25%。政府は月80時間を超える部分の残業に関し、割増率を50%以上に引き上げる法案を国会に提出していたが、与党と民主党は「50%以上」の適用基準を「月60時間超」部分の残業に拡大することで合意していた。
未婚の日本人男性と外国人女性の間の子供について、父親が出生後に認知すれば日本国籍の取得を認める国籍法改正案も18日、衆院本会議で全会一致で可決された。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081119ddm005010126000c.html
昨年3月にこの改正案は閣議決定され、国会に提出されていましたが、同時に提出された「労働契約法案」「最低賃金法の一部を改正する法律案」と一括審議されていたものの、「労働契約法」「最低賃金の一部を改正する法律案」は平成19年11月8日に成立しましたが、労基法改正案については、今年の通常国会および臨時国会での継続審議扱いとなっていました。
なお、改正法案(修正後)の概要は以下の通りです。
【労働基準法の一部を改正する法律案】
(1)時間外労働の抑制
(イ)時間外労働の限度基準で定めることができる事項として、割増賃金の率に関する事項を追加するものとすること。
(ロ)月60時間を超えて時間外労働の割増率を25%から50%に引き上げあげる。
(ただし、中小事業主については、当分の間、適用を猶予し、施行後3年を経過した場合に検討を行うものとすること)
(ハ)月60時間を超えて残業させたときは、割増賃金の支払に代えて、有給の休暇(年次有給休暇を除く)の代替取得可能とする。(要労使協定)
(2)年次有給休暇の見直し
年次有給休暇のうち5日以内については、時間単位として年次有給休暇を取得可能とする(要労使協定)
(3)施行期日
平成22年4月1日。
いよいよ平成22年4月より、月60時間を超える残業の割増率が25%から50%に引き上げになります。
月60時間の残業、1日平均2時間の残業、月2日の休日出勤で60時間に達してしまいます。人件費の高騰に直結する企業も多いのではないでしょうか?
労働基準法は、ブルーカラーの工場労働者を対象に作られた法律とも言われており、労働時間=賃金の考え方に基づいています。しかし、現在は労働時間と成果が必ずしも結びつかない仕事も増加しており、そういった面では矛盾を感じる部分もあります。
しかし、過重労働による過労死問題、精神疾患等が問題視される中、厚生労働省もワークライフバランス(仕事と生活の調和)にも力を入れており、中小企業においても従来の働き方を見直すことが求められています。
中小企業は最低3年間の猶予期間が設けられますが、今から対応策を講じておくべきでしょう。