2013年05月30日

Vol.3 就業規則の試用期間は3カ月間だけれども

~就業規則の試用期間は3カ月間だけれども~
A社長

A社長
「2ヵ月前にB男を正社員として採用したんだけど、人はわからないものだね。
最初は仕事を頑張ってくれていたんだけど、最近いろいろと問題が発生して困っているんだよ。彼は、全く周りとの協調性がなくて、先輩社員や同僚とトラブルばかり起こしていて、お客さんからのクレームも相次いでいるし、3カ月試用期間中だから辞めてもらおうと思っているんだけど、解雇できるかな?」


社労士
「結論から申し上げると、試用期間中であっても簡単に解雇できるわけではありません。
今回の場合の試用期間は、期間の定めのない契約をした中での、会社が定めた試用期間です。
試用期間中は、解約権留保付労働契約といって、本採用後の通常の解雇より広い範囲で解雇の自由
が認められていますが、解雇するだけの客観的かつ合理的な理由が必要です。
また、労働基準法で定められた試用期間は雇い入れから14日間となっていますので、この期間を
過ぎると、30日前に解雇予告をするか、30日以上分の解雇予告手当を支払うかのいずれかの手
続きを踏まなければなりません。」


A社長
「え~っ!そうなの?試用期間中は、会社に合わなければすぐに辞めてもらえると思ったんだけど
な。簡単にはできないんだね。」 


社労士
「そうですね。ところで、B男さんに対しては、実際にトラブルやクレームが発生した時点で、きち
んきちんと注意をされていますか?」


A社長
「もちろんだよ。私からも直接指導しているよ。前に、おたくから教えてもらったように、トラブル
やクレームが起きた都度“始末書“をとり、会社として“指導記録”を書面で残すということもや
ってみたよ。」


社労士
「さすが、社長ですね。それでは、その書面を客観的な証拠として、まずは、本人に“今のままで
は、協調性や仕事への適性がなく、自社に適さないようだが、今後も仕事を続けるかどうか“を、
上手くお話をされたらどうでしょうか?」


A社長
「そうだね。いきなり解雇ではなく、まずは本人としっかりと話をしてみるよ。ところで、他の会社
ではこんな場合どうしているの?」


社労士
「中途採用の場合は、どうしても採用のミスマッチが起こりやすいので、最初から正社員として採用
せずに、一定期間は有期雇用の雇用契約を結んでもらっています。その間に適性を見極め、自社に
適するよい人材ならば、そこから正社員として雇用します。もし、ふさわしくないようなら、その
有期雇用の契約期間満了をもって円満退職となります。次回からこの方法を使ってみて下さい。」


A社長
「今度は採用する前に、相談するようにするよ。」



同じカテゴリー(人事労務事件簿)の記事画像
Vol.5 従業員がうつ病の診断、休ませた方がよいのか
Vol.4 労働基準監督署の調査が入る?
Vol.2 人を採用して助成金を受給するには
Vol.1 退職時に有給休暇を全部消化したいB子編
同じカテゴリー(人事労務事件簿)の記事
 Vol.5 従業員がうつ病の診断、休ませた方がよいのか (2013-05-30 18:01)
 Vol.4 労働基準監督署の調査が入る? (2013-05-30 17:57)
 Vol.2 人を採用して助成金を受給するには (2013-05-30 17:49)
 Vol.1 退職時に有給休暇を全部消化したいB子編 (2013-05-30 14:38)

Posted by aiai_mc at 17:53 │人事労務事件簿

削除
Vol.3 就業規則の試用期間は3カ月間だけれども