2013年05月30日

社会保険の資格取得時の報酬決定で社会保険料削減!?

~社会保険の資格取得時の報酬決定で社会保険料削減!? ~


社会保険の資格取得手続きの際、その従業員の標準報酬月額を届け出て社会保険料が決まりますが、入社時は実績がないため見込みの報酬額により決定されます。その見込みの出し方によっては社会保険料が高くなってしまう可能性もあります。また遡って標準報酬月額の訂正を行う必要も出てきてしまいます。経営者にとっては負担の重い社会保険料を少しでも軽減したいと思うところです。そこで、「資格取得時報酬訂正」を理解することで、多少の社会保険料削減が見込めるかもしれません。ではAさんとBさんのケースで見てみましょう。


AさんとBさんは資格取得時に基本給18万と残業2万円ほどを見込み、決定の標準報酬月額は20万円でした。
その後実際に働いてみると、
Aさん…残業が予想外に多く、実際の残業手当は5万円。 総支給額は230,000円
Bさん…残業が予想外に少なく、実際の残業手当は3千円。総支給額は183,000円

資格取得時に決定された標準報酬月額20万は同じなので、社会保険料は二人とも同じですが、Aさんは実際の給与より低い社会保険料になり、Bさんは実際の給与より高い社会保険料になっています。
この場合「資格取得時報酬訂正」を提出して標準報酬を変更できるのでしょうか。答えはNOです。このケースは残業の見込みが違っていたため起きたことですが、残業の見込み違いについては取得時報酬訂正の対象となりません。資格取得時の報酬訂正を行うのは、固定的賃金や手当の算入漏れ、または明らかな計算誤りがあった場合のみとなり、資格取得時に見込んでいた時間外手当が実際に支払われなかった、あるいは見込み以上に支払われ、著しい差が生じた場合でも、資格取得時の報酬訂正は行いません。

但し、そもそも残業手当を見込まないで届け出てしまい、実際残業があった場合は取得時訂正手続きが必要になります。
残業代の見込みが少ない場合でも訂正の必要がないことから考えると、取得時の残業の見込みは最低限の額を見込んでおけば社会保険料を安く抑えられる可能性があるのではないでしょうか。

尚、次の定時改定には実際支払われた賃金を基に標準報酬が改定されるため、最長、次の定時改定までの期間でのことになりますので大きな負担減は望めないかもしれません。

事務所通信2012年12月号より

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