2008年11月03日

毎日3時間の残業、週1回に休日出勤は実はリスク

従業員の方が毎月どの程度残業や休日出勤をしているか把握されていますか?

「うちはそんなに残業はさせていないよ。」
「残業時間は長いけど、残業手当払っているから大丈夫」
「本人が残業して稼ぎたいっていっているんだよ」
いろいろな声が聞こえてきそうです。

毎日3時間の残業、週1日の休日出勤、月に100時間以上の時間外労働をしていた従業員の方が業務中、心臓麻痺で倒れました。病院に搬送されましたが、残念ながらご逝去されました。

特に機械等に巻き込まれてケガしたわけではないし、業務時間内とはいえ、私傷病での死亡だから会社としては、社内規定の弔慰金を支払えば済むだろう。

本当にそれで済むのでしょうか?

このケースの場合、ご遺族から過労死としての労災の申請がありました。

その後、労働基準監督署の様々な調査の結果、過重労働に基づく業務災害として認定が下りました。

確かに直接的な死亡原因は私傷病ですが、この場合、長時間労働・過重労働に起因した過労死と認定される可能性が非常に高いのです。

◆過労死の認定基準は?
発症日以前1ヵ月間の時間外労働が100時間以上
発症日前2ヶ月~6ヶ月間の時間外労働の平均が80時間以上
これをクリアすると過労死として認定される可能性が高くなります。

本人に既往症があったり、日頃からの深酒、喫煙などは過失相殺されることもあります。

そして、その後にもっと恐ろしい事態に発展する可能性があります。
それは労災認定に基づく、莫大な金額の民事損害賠償です。

国から労災認定が決定したことで、弁護士を通じて、遺族の方が会社に安全配慮義務違反における過失について民事損害賠償請求をしてきました。

その額は???

なんと8,593万円!!

この金額は、30歳男、妻・子2人、年収460万円の方が死亡した場合の計算額です。
本人の過失相殺はないものとして計算してあります。

恐ろしい金額です。

財務体質が脆弱な中小企業では倒産さえも視野に入れなければならない程、莫大な金額です。

そういったリスクを少しでも回避するために、これだけは死守しておきたいデッドラインがります。

①夜10時以降の深夜勤務はさせない(業種によって不可能ですが・・・)
②1週間に1回は必ず休ませる
③1ヵ月の時間外労働は80時間未満に抑える
この3点を必ず守ってほしいと思います。

過労死の認定基準
発症日以前1ヵ月間の時間外労働が100時間以上
発症日前2ヶ月~6ヶ月間の時間外労働の平均が80時間以上
を超えないよう十分に注意しましょう。

経営者は、従業員の労働時間をしっかりと把握しておく必要があります。その上で、長時間労働が続くなどの状況に対しては、何らかの対応をしていくべきではないでしょうか?

過労死の問題については、起きてしまってからでは取り返しのつかないことです。日頃からの経営者の意識と対策が不可欠です。

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