2008年11月03日

インターネットの普及と労使トラブル

インターネットが経営者と従業員の関係に大きく影響を与えています。

インターネットの普及だけが原因ではないと思いますが、労使トラブルは確実に増加する傾向にあります。

次のページを見て、私は衝撃を受けました。

http://homepage1.nifty.com/rouben/ 


日本労働弁護団は労働問題の関係を扱う弁護士さんのうち、労働者側の弁護士さんの団体です。

ページをスクロールしてみてください。
”賃金不払残業、違法残業撲滅のために労働基準監督署を活用しましょう”「労働基準監督署への申告について」ということで
こと細かく方法が説明されています。


http://www.toburoso.org/

こちらは、東京東部労働組合のホームページです。

東部労組とは、1人から加入できる合同労働組合ですが、マスコミを騒がせた名ばかり管理職の問題等でも活発に活動している労働組合です。

http://www.rodosodan.org/zangyou/zangyoutorimodosibassui.htm

「サービス残業代を取り戻す手順・方法(抜粋)」のページです。
東部労組で比較的効果のあった方法を紹介しているようですが、内容を読むとあまりの過激さに驚いてしまいます。

インターネットでは、経営者が従業員には絶対に見て欲しくない情報がいとも簡単に誰でも入手できてしまうのです。

グーグルで
「サービス残業」と検索すると1,050,000件
「是正勧告」で 222,000 件
がヒットします。


情報は氾濫していて、従業員がその気になれば労働基準監督署に申告することも、民事裁判で争うことも意外と簡単に出来てしまうのです。

それに対して経営者の意識はどうでしょう。
大半の中小企業の社長はこう言います。

「昔はよかった。そんなにうるさいこと言わなかったよ」
「労働基準法を守っていたら中小企業は潰れてしまうよ」

でも、そんな悠長なことを言っていられる時代でしょうか?

時代は確実に変わったのです。従業員の意識も大きく変わったのです。労働基準法は労働者保護の観点でつくられた法律です。
経営者を守ってくれる法律はないのです。

会社を守って、永続的に経営を続けていくためには、情報武装して権利主張をしてくる従業員に対して会社は正しい知識を身につけ対応策を講じておく必要があるのではないでしょうか?

私は、現在常に10件以上の就業規則の案件を抱えていますが、2年前まで社労士事務所に勤務していたころは、就業規則の作成依頼は事務所全体で、年間2~3件でした。
以前は就業規則といえば、他社のコピーであったり、本屋さんで買ってきた本の雛型丸写しや、労働基準監督署の雛型就業規則を使用していたり、とても軽視されていました。

でも、全国的に就業規則作成や見直しのニーズはここ2年くらいで確実に高まってきています。

労使トラブルになったとき、その寄りどころになるのが、就業規則だからです。

また、本年3月より労働契約法が施行され、就業規則が個々の社員との労働契約とみなされるようになりました。

いざというときに会社を守るためには、
・自社の実態や体力に合った就業規則
・法律の緩急を心得た就業規則
・実際に運用できる就業規則
をオリジナルで作成していくことが必要だということです。

全てが就業規則でトラブルが解決するものではありませんが、労使トラブルが増加する時代に最低限備えておかなければならないものです。

社長の机の引き出しや金庫の中に保管したままの就業規則を一度見直してみる必要があるかもしれません。


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