2008年11月03日

高年齢者雇用安定法への対応は?

今後、労働力人口が減少していくことを考えると高齢者の活用は必須となってきます。
また、すでに高い技術やノウハウを持った高齢者を定年退職後も戦力として活用していくことが企業活動に非常に有効なことです。

今回は、高齢者雇用に関する法律的な知識と制度面での運用についてご説明します。

経営者の方とお話をしていると
「法律が変わって、定年を65歳にしなければならないんでしょ?」とおっしゃる方がよくいらっしゃいます。
これは一部正しいのですが、少し解釈が違っています。

平成18年4月から、改正高年齢者雇用安定法が施行されました。

この法律によると
平成25年までに段階的に65歳まで雇用確保することが義務付けられました。

この雇用確保=定年延長ではありません。

1.定年の延長
2.継続雇用(再雇用・勤務延長)
3.定年の廃止

企業はこのいずれかの措置を講じればよいのです。

その中で、約85%以上の企業が選択している制度のが、継続雇用です。(再雇用・勤務延長)

この継続雇用制度がある意味、企業にとって最もリスクの少ない選択肢だと思います。

定年延長をした場合、65歳まで正社員としての身分で、これまでの待遇を維持することが原則となりますので、
全員を65歳まで正社員として雇用することは人件費高騰、組織の硬直化等も出てくる可能性があります。

また、定年の廃止の場合、年齢に関係なく、従業員本人が退職しますと申し出るか、会社が解雇しない限り、雇用関係が継続するので、あまり現実的ではないかもしれません。

そうなると、60歳で一旦退職し、本人の希望があれば65歳まで再雇用をするという方法を上手く活用することが最も現実的な方法といえるかもしれません。

ちなみに平成25年までに段階的に65歳まで雇用確保というのは、
 平成22年3月31日までは63歳まで
 平成22年4月1日から平成25年3月31日までは64歳まで
 平成25年4月1日からは65歳まで
となっています。

改正高年齢者雇用安定法への対応をされていない場合は、早急に就業規則等で規定定める必要があります。

では、会社は60歳で定年退職し、再雇用する制度を導入する場合、再雇用を希望する従業員全員を再雇用する必要があるのでしょうか?
現段階では、法律ではそこまで求めていません。

会社と従業員代表との労使協定があれば、再雇用をする社員に対し、選定基準を設けてもよいことになっています。

その選定基準とは?例えば、
 ・健康状態が良好であること
 ・過去2年間の勤怠が良好であること(欠勤や遅刻早退が○日以内など)
 ・勤務成績が優秀であること(過去○年間の成績評価がBランク以上であること)
等、健康状態・勤怠・成績などの条件の基準を設け、その基準に達している人だけを再雇用することも可能です。

この選定基準を決める際に、従業員との間の合意が得られなければ、中小企業においては、平成23年までは暫定的に就業規則にこの選定基準を定めるだけで、適用することができるとされています。

60歳以降の高齢者は健康面・能力面・モチベーションの面で、かなり個人差があるといわれています。

希望者全員を再雇用するということが理想的ではありますが、ふるいにかける選択権を会社が持つことで、会社の負担が軽減するでしょう。

※過去に継続雇用定着促進助成金を受給した企業は、定年延長か再雇用(希望者全員)の制度が既に導入されていますので、上記の方法を活用することはできません。




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