2009年02月10日

広がるワークシェアリング

日産自動車がグループ全体、全世界で2万人、うち国内正社員を4千人削減するという発表がありました。
今回の景気後退局面で国内自動車メーカーとして初めて大規模な正社員の雇用調整に乗り出すということです。
また、ワークシェアリングを間接部門も含めて導入するという方針も表明されました。

ローカルな話題ですが、
2月10日付けの静岡新聞にワークシェアリングに関する興味深い記事が掲載されていましたので、抜粋してみます。

県内に広がるワークシェア(2月10日付 静岡新聞 朝刊より)
~正社員が交代休業、解雇避け給料削減~

深刻な不況による受注の激しい落ち込みで、県西部の中小の製造業者を中心に、事業活動を続けながら正社員が班ごとに交代で休業を取る動きが広がっている。減少した受注枠の中で雇用の維持を図る一種のワークシェアリングといえる対応。解雇すると景気回復後の人材確保が難しい中小企業にとって一定の効果がある一方、不況が長引けば雇用対策にはつながらないという見方もある。

以下誌面に掲載されていた中小企業のワークシェアリングの実例を列挙してみます。

◆浜松市の金属加工業 正社員24名
・昨年12月以降、受注は6割も減少した
・部分休業を今月5日より開始した
・社員を12名ずつの二組に分け、従来の週休2日を4日にして交代で休む
・給料は一律2割削減した
~社長のコメント~
「この形を2ヶ月間続けるが、その先は考えていない。仕事がなければ約半年で社内留保も底をつく」

◆袋井市の自動車部品製造業者 社員8人
・ピーク時に比べ売上が5分の1に激減
・ワークシェアリングを2月中旬から始める
・給料は2~3割削減し、賞与は支給しない方針
・現在は、交代勤務を可能にするため社員同士で担当業務の教え合いをしている
~社員のコメント~
「年収は半減するが、新居の住宅ローンの返済もある。増えた休みでアルバイトを考えている」

※ワークシェアリング
仕事の分かち合い。
従業員1人当たりの労働時間を削減して、多くの人で一定の仕事量を分担する。
一時的に生産量が減って人が余った場合に雇用を維持する「緊急対応型」と、高齢者や女性の社会進出や長時間労働解消などを目的に多様な短時間労働を導入する「多様就労型」の2つに大きく分かれる。


以上、静岡新聞より


「景気回復後に備えて人材は確保しておきたい。解雇はしたくない。」という理由でワークシェアリングを導入する中小企業が増えてきているようです。
交代で休業をとることで賃金を一律カットし、人件費を抑制するという強行策をとらざるを得ないというのが現状のようです。

社員もこの深刻な不況下、解雇されるよりは、賃金カットされても雇用を維持してもらった方がまだましだというのが現実だと思います。

しかし、社員にも生活があり、大企業の高い給与水準ならともかく、2割~3割賃金カットされた状態を長期間に亘り続けることは、生活自体が疲弊してきてしまいます。あくまで将来の景気回復を前提とした期間を限定した暫定的措置としてとして行うべきでしょう。

今回の未曾有の不況、出口が見えないと言われていますが、この不況が長期化しないことだけを祈らざるを得ません。


同じカテゴリー(「人事労務」最前線)の記事
 未納の国民年金、後払い申請開始 過去10年分対象 (2012-08-01 22:02)
 AIJ社長ら追起訴 起訴額計100億円―東京地検特捜部 (2012-07-31 20:12)
 未成年の男性自殺:上司パワハラが原因 労災認定 (2012-07-30 20:46)
 改正労働契約法が衆院を通過 (2012-07-27 22:27)
 12年度最低賃金引き上げ、平均7円  (2012-07-26 19:24)
 OBの企業年金減額しやすく AIJ対策で厚労省が見直し案 (2012-07-26 19:22)

※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
広がるワークシェアリング
    コメント(0)