2012年01月10日

国保保険料を2015年度より都道府県単位に集約へ

 政府は原則的に市区町村ごとに賄っている国民健康保険(国保)の医療費について、2015年度から都道府県単位に集約し、市区町村が共同負担する仕組みに改める方針を決定しました。2012年1月24日召集予定の通常国会に関連法案を提出する意向で、最大2.8倍に達する同一都道府県内の保険料格差は縮小に向かう見込みです。ただし、高齢者が多い小規模の市町村は負担軽減につながる半面、都市部では保険料が上がる可能性が高くなっています。

 自営業者や無職の人が加入する国民健康保険の医療費は加入者の保険料と税金で運営されています。病気になりやすい高齢者が多い小規模な自治体は医療費がかさみ保険料が高額になる傾向にあります。国保全体の半数は赤字で、2009年9月末時点で4分の1にあたる432団体は加入者数が3000人を下回るなど、運営の行き詰まりが懸念される状態です。
 このため、政府は共同負担の仕組みを「30万円超」から「1円以上」に拡大し、全診療を対象とすることにしました。各市区町村は加入者数と過去の医療費実績に応じ、拠出金を払う。拠出額の半分は加入者数に応じて決まるため、人口が少なく高齢化の進んだ郡部は負担が軽減される一方で、都市部は重くなります。都道府県の判断で、加入者の所得に応じた拠出も可能とします。

 厚生労働省は75歳以上の後期高齢者医療制度を国保に組み入れたうえで、都道府県単位に広域化する案を示していますが、野党の反対で暗礁に乗り上げています。共同負担方式の全面導入により、財政運営面では保険料水準などを除いて広域化が実現することとなります。


  


Posted by aiai_mc at 21:34「人事労務」最前線

2012年01月10日

パワハラ防止策報告書案まとめへ

 職場の上司のいじめや嫌がらせなど、いわゆる「パワーハラスメント」の防止策について検討している厚生労働省のワーキング・グループが、初めての報告書案をまとめました。近年、都道府県労働局に寄せられる職場のいじめ・嫌がらせに関する相談が年々急増しており、パワハラを原因とした精神疾患や訴訟の増加が社会問題化しているため、労使双方の取り組みを促すことがねらいとなっています。
 報告書案ではパワハラは職場の生産性に悪影響を及ぼすだけでなく、従業員の生きる希望を失わせかねないと指摘しました。そのうえで、実際の職場で問題の重要性を認識していなかったり、業務上の指導との線引きの難しさから対応に苦慮したりしている例に対応するため、まずは、どのような行為がパワハラに当たるか共通認識を持つことが重要とし、下記のような具体例を示しました。

(1)暴行・傷害(身体的な攻撃)
(2)脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
(3)隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
(4)業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
(5)業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
(6)私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

 暴言や遂行遂行不可能なことの強制など攻撃的な行動に加え、無視や仕事を与えないといった行為も挙げた点が特徴となっています。厚労省は、公労使による円卓会議で内容をさらに検討して、年度内をめどに提言をまとめる予定です。

(参考)厚生労働省:第5回「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」配布資料について
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001yzy9.html
  


Posted by aiai_mc at 21:28「人事労務」最前線

2012年01月06日

今春闘で賃上げ求め 連合会長

連合の古賀伸明会長は5日の年頭記者会見で今春闘について「人に積極的な投資をして分厚い中間層を再生させ、日本社会の発展につなげていくべきだ」と述べ、給与総額の1%を目安とした引き上げを経営側に求める考えをあらためて示しました。

 古賀会長は「労働件条件の底上げ、格差是正に向けて全力を挙げて取り組んでいく」と決意を表明しました。急激な円高や東日本大震災などを背景に、非正規労働件者や生活保護の受給者が増加しているとして「日本社会の貧困化が進行している」と指摘しました。



  


Posted by aiai_mc at 21:22「人事労務」最前線

2011年12月27日

協会けんぽ保険料率、3年連続上げで2012年度10%に

 2011年12月26日、中小企業の従業員らが加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)は今年度9.5%だった都道府県別に決める保険料率が2012年度に平均で10.0%になるとの試算を発表しました。高齢者医療への拠出金が増え続けているため、保険料率の引き上げは3年連続となり、2ケタになるのは初めてとなります。

 標準報酬月額が28万円の加入者の場合、月々の保険料負担(事業主と従業員負担分合計)は今年度より1,560円増額となる31,197円となります。全国健康保険協会は2012年度の保険料率が10%を超えるとみていましたが、経費節減などで10%ちょうどになる見込みです。

 全国健康保険協会は2012年1月にも都道府県別の保険料率を決定し、厚生労働相に認可申請するとのことです。これ以上の保険料率の引き上げは加入者の理解を得られないと見込み、国に国庫補助率の引き上げ等を求めていく方針です。
  


Posted by aiai_mc at 21:02「人事労務」最前線

2011年12月27日

ファストフード元店長、未払い残業代等1250万円求め訴え

 時間外労働に対する割増賃金を支払わないのは不当として、府内でファストフード店等の店長を務めた男性(41歳)が、飲食店経営会社「ウタシカン」(京都市中京区)に未払いの残業代等計約1250万円の支払いを求める訴えを京都地裁に起こしました。提訴は2011年11月25日付です。

 訴状等によると、男性は、同社がフランチャイズ経営する府内の「ケンタッキーフライドチキン」等で店長を務めた平成21年4月から平成21年12月までの間、1カ月で最大130時間の時間外労働があったにも関わらず、同社は「管理職にあたる」として割増手当を支払わなかったとのことです
  


Posted by aiai_mc at 20:53「人事労務」最前線

2011年12月22日

雇用保険料率1.0%に引き下げ

 厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会の雇用保険部会は20日、労使が折半して負担している雇用保険の保険料について負担を軽減するため、来年度から保険料率を今より0.2ポイント引き下げ賃金の1%とすることを決めました。
雇用保険の保険料は、仕事を失った人に支給される失業給付の財源となっていて、国庫負担のほかに労使双方が賃金の1.2%分の保険料を折半して支払っています。
雇用保険の積立金は来年3月の時点で4兆3000億円に上る見通しで、政府の行政刷新会議による政策仕分けで保険料の引き下げを検討すべきだと指摘されていました。このため保険料率を引き下げても失業給付の財源を確保できると判断し、保険料率を今より0.2ポイント引き下げ、賃金の1%とすることを決めました。
これによって、労使の負担はそれぞれ0.5%ずつとなり、例えば月収が30万円の人の場合、保険料負担はひと月で1500円と、今より300円安くなります。厚生労働省は省令を改正し来年4月から保険料率を引き下げることにしています。
  


Posted by aiai_mc at 21:38「人事労務」最前線

2011年12月22日

年金負担財源 交付国債で調整

 政府は20日、国の来年度予算案の焦点となっている基礎年金の国庫負担割合を2分の1に維持するための財源について、赤字国債の発行が難しいことから、不足分の2.6兆円に交付国債を充てることを決めました。交付国債は新規国債の発行額には含まれず、基礎年金国庫負担の財源が一般会計に計上されない異例の決着となります。この結果、「新規国債発行約44兆円以下」という政府の財政健全化目標は見かけ上維持されます。
 2.6兆円分の財源をめぐっては、厚生労働省が将来の消費増税で返済する「つなぎ国債」の発行を主張する一方、財務省は保険料を原資に将来の給付に備える年金積立金の取り崩しを求めて対立。最終的に交付国債で手当てする案を財務省が出し、両省が調整していました。

  


Posted by aiai_mc at 21:33「人事労務」最前線

2011年12月21日

年金、12年10月から物価下落分を反映 社会保障改革案

 政府は2012年12月20日、年内をメドにまとめる社会保障と税の一体改革素案のうち、社会保障改革案を決めました。過去の特例措置で支給額が本来の水準より高くなっている年金は、来年10月分(12月支給)から減額して、本来の支給水準に戻すことを明記しました。外来患者に受診1回あたり100円の追加負担を求める制度の導入など、一部の負担増となる改革は民主党の意向で見送りました。

 16日に民主党の社会保障と税の一体改革調査会(細川律夫会長)が社会保障改革の内容を固めたことを受け、厚生労働、財務など関係5大臣が会合を開き、政府の社会保障改革の素案骨子を決めました。20日からは消費税の引き上げ時期など税制論議を本格化させます。

 年金は物価変動に合わせて支給すると法律で決まっていますが、特例を設けて物価下落分を反映していない時期があったため、現在の支給額は本来より2.5%多くなっています。支給額は2014年度までに本来の水準に戻すということです。ただ、これまで過剰に支払った分は減額しません。

 社会保障改革の多くは消費税の引き上げと同時に実施します。基礎年金の平均年額に達しない年収65万円未満の高齢者には、年金を月額1万6千円加算します。幼稚園と保育園を一体化して「こども園」をつくり、若い世代の子育て支援を拡充を狙います。

 一方、高額医療の患者負担軽減策の財源として想定していた100円の追加負担は、民主党の反対が強く盛り込まれませんでした。このため、高額医療の負担軽減は規模を縮小し、年収300万円以下の人を対象にします。70~74歳の医療費の窓口負担割合を1割から2割に引き上げることも民主党の反対が強く、来年度は実施しない方針です。
  


Posted by aiai_mc at 21:27「人事労務」最前線

2011年12月20日

平成22年度年金事業の概況について 厚労省

 厚生労働省は19日に平成22年度の厚生年金保険・国民年金事業の概況を発表しました。主なポイントは次になります。

<公的年金制度>
○加入者数は、平成22年度末現在で6,826万人となっており、前年度末に比べ48万人(0.7%)減少している。
○受給者数(延人数)は、平成22年度末現在で6,188万人となっており、前年度末に比べ200万人(3.3%)増加している。また、年金総額は、平成22年度末現在で51兆1千億円となっている。
○重複のない公的年金の実受給権者数は、3,796万人(福祉年金受給権者を含む。)であり、前年度末に比べ93万人(2.5%)増加している。

<厚生年金保険>
○被保険者数は、平成22年度末現在で3,441万人となっており、前年度末に比べて16万人(0.5%)増加している。平成22年度においては、標準賞与額は増加したものの、標準報酬月額が低下したため、一人当たり標準報酬額は減少している。
○受給者数は、平成22年度末現在で2,943万人となっており、前年度末に比べ129万人(4.6%)増加している。また、老齢年金の平均年金月額は15万3千円となっている。

<国民年金>
○第1号被保険者数(任意加入被保険者を含む。)は、平成22年度末現在で 1,938万人となっており、前年度末に比べて47万人(2.4%)減少している。
○第3号被保険者数は、平成22年度末現在で1,005万人となっており、前年度末に比べて16万人(1.6%)減少している。
○受給者数は、平成22年度末現在で2,834万人となっており、前年度末に比べ56万人(2.0%)増加している。また、老齢年金の平均年金月額は、5万5千円となっている。



  


Posted by aiai_mc at 21:24「人事労務」最前線

2011年12月19日

65歳雇用義務化 法案2012年提出へ

 小宮山厚生労働大臣は、NHKの日曜討論で、年金の支給開始年齢が65歳まで引き上げられるのを受けて、企業に対し、希望する人、全員を65歳まで雇用するよう義務づける法案を、来年の通常国会に提出したいという考えを示しました。
 厚生労働省は、厚生年金の支給開始年齢が再来年から段階的に65歳まで引き上げられるのを受けて、企業に対し、希望する人、全員を65歳まで雇用するよう義務づけるべきだという方針を、先週、労働政策審議会の部会に示しています。これについて小宮山厚生労働大臣は、「これまでも、企業に対して雇用を確保するよう働きかけてきたが、結局進んでいないのが現状だ。雇用と年金がつながらないと生活ができないので、義務づける必要があり、次の通常国会に高齢者の雇用を確保する法案を提出したい」と述べ、来年の通常国会に関連法案を提出したいという考えを示しました。また、小宮山大臣は、暫定的に1割に据え置かれている、70歳以上75歳未満の医療費の窓口負担について、「来年度は2割負担に戻すことを見送ったが、再来年度には、きちんとやる方向にすべきだ」と述べ、再来年度以降は、法律で定められている2割に引き上げたいという考えを示しました。  


Posted by aiai_mc at 22:04「人事労務」最前線

2011年12月19日

年金財源に交付国債案 消費増税まで「つなぎ」 財務省

 12年度予算編成で、基礎年金で国が負担するうちの2.6兆円分を「交付国債」でまかなう案を財務省が厚生労働省に対して示しました。交付国債で賄う場合、2.6兆円は歳出に計上されないため、12年度の一般会計総額は約90兆円となり6年ぶりに当初予算が前年度を下回ることになります。消費増税までの「つなぎ財源」として考えているようです。 この法案が通った場合、財政健全化目標である「国債44兆円枠」は維持できる見通しです。
 財務省はこれまで、基礎年金の国庫負担割合を今の50%から36.5%に引き下げるよう主張してきました。年金の給付水準を下げないため、
引き下げ分の2.6兆円は、年金保険料をためている年金特別会計の積立金から出すよう求めてきました。
 ただ、財源の裏付けの無い国債発行は好ましくないため、財務省は国庫負担率を予算案段階で36.5%に引き下げ、消費増税法案が成立するまでの間は年金特会の積立金を取り崩す「2段階方式」を主張しています。一方、厚労省は「積立金を取り崩せば年金財政への信頼が損なわれる」として、あくまで国債発行によって差額を穴埋めするよう求めています。
 交付国債の償還財源には、将来の消費増税による増収分を充てる予定です。財政規律を維持する姿勢を示しながら、年金財政を実質的に国庫で支援するという、異例の手法を検討することになります。
 交付国債を活用すれば、厚労省は年金財政を悪化させずに済む一方で、財務省は国債発行額を抑制することができるため、妥協案として浮上してきた模様ですが、市場から「見かけ上の国債発行額を減らす粉飾行為」との批判を浴びる恐れもあり、政府は、交付国債の換金は消費増税法案の成立を条件とすることも検討している模様です。


  


Posted by aiai_mc at 22:01「人事労務」最前線

2011年12月16日

医療費 70~74歳の窓口負担2割 先送りに

 政府は15日の民主党「社会保障と税の一体改革調査会」総会で、一体改革大綱素案の社会保障部分の修正案を示しました。特例措置で1割に据え置いている70~74歳の医療費窓口負担割合を本来の2割に戻すとした原案について、12年度は実施を見送って1割のままとすることを明記したうえで、13年度以降の取り扱いに関しては「(12年末の)13年度予算編成過程で検討」とし、先送りする文案を了承しました。  


Posted by aiai_mc at 22:09「人事労務」最前線

2011年12月16日

雇い止め防止へ 厚労省

 有期雇用の規制を検討している厚生労働省は14日の労働政策審議会で、有期雇用で働ける通算期間に上限を定める仕組みを提案しました。上限を超えた場合は、契約満了の時期を決めない「無期雇用」に転換し、安定した雇用を増やす狙いです。雇い止めの増加を防ぎながら無期雇用への転換を促すには何年にすればよいかがポイントになります。

 有期雇用の期間に上限を設けると、企業がその前に契約を終える「雇い止め」が増えるとみられています。
 実際、4年前に同様の制度を導入し上限を2年とした韓国では、有期雇用労働者のほぼ半数が雇い止めされたとの調査報告があります。

 このため審議会の労働側委員は、2年は短いが、あまり長いと無期雇用への転換が遅れるとして「上限は3~5年に」としています。

 これに対し使用者側委員は、スムーズな無期雇用への転換には、人材育成と評価ができる十分な期間が必要として「少なくとも7~10年は必要」とのことです。
  


Posted by aiai_mc at 21:04「人事労務」最前線

2011年12月15日

ジェイフォン社員のうつ病自殺、労災認定へ―名古屋地裁

 携帯電話会社「ジェイフォン」(現・ソフトバンクモバイル)の社員(当時56歳)のうつ病による自殺は過労が原因だったとして、妻(64歳)が国に労災認定を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は2011年12月14日、原告側の訴えを認め、遺族補償年金を不支給とした名古屋西労働基準監督署の処分を取り消しました。

 判決で田近裁判長は、亡くなった社員(当時56歳)が経験のない業務を任され、時間外労働が約100時間に上る月もあったと指摘し、「業務は質的、量的に過重で、日常的に多大な心理的負荷を与えた」とうつ病発症との因果関係を認めました。

 その上でうつ病の症状が悪化していった経緯を説明し、自殺直前に会社が命じた異動についても、「やむを得ず承諾したことも相まって、うつ病が決定的に増悪し、自殺に及んだと推認できる」と判断しました。

 原告代理人の弁護士によると、うつ病の発症後も長期間にわたって勤務を続けた社員の労災が認められるのは全国で初めてとのことです。

 名古屋西労働基準監督署は2009年4月に「業務による強い心理的負荷は認められない」として労災を認めず、遺族補償年金の不支給を決定しました。遺族と会社側は2009年6月に名古屋高裁で和解が成立しています。
  


Posted by aiai_mc at 19:53「人事労務」最前線

2011年12月14日

新子ども手当:年収960万円超、月5000円 増税負担に配慮

 政府は2011年12月13日、現在の子ども手当に代わる12年度以降の新たな子ども手当に絡んで、所得制限の対象となる世帯(年収960万円超)にも子ども1人当たり月5000円を給付する案を決めました。所得税・住民税の年少扶養控除廃止に伴って大幅増税となる所得の高い世帯の負担を軽減します。

14日の民主党政策調査会の部門会議に提示、12年度予算案に盛り込む方針です。その上で、年明けから自民、公明の野党側と調整に入る考えです。実現すれば、新たな子ども手当の支給月額は事実上、制限所得以下の世帯に対する1人1万~1万5000円と、制限対象世帯に対する同5000円の2本立てになります。

民主、自民、公明3党は今年8月、15歳以下の子ども全員に1万3000円を給付していた従来の子ども手当の廃止を決定。今年10月からは、3~15歳の第1子~第2子に1万円、3歳未満児と第3子以降に1万5000円を支給する制度に変更しました。一方、財政難も背景に12年度から年収960万円超を基準に所得制限を導入することで合意しました。

ただ子ども手当導入に伴い、今年1月に年少扶養控除が廃止されたため、年収960万円超の世帯への給付額を単純にゼロにすれば、増税負担が大き過ぎると指摘されていました。

民主党は当初、所得制限世帯に月9000円を支給する案を示していましたが、同案では高所得世帯よりも中所得世帯の方が負担増になるケースがあることが判明、負担の逆転現象を避けられる月5000円案に落ち着きました。新たな手当では、所得制限対象の年収1000万円世帯(夫婦と子ども1人)の場合、児童手当が支給されていた自公政権時に比べて月約4000円の手取り減となります。  


Posted by aiai_mc at 20:01「人事労務」最前線

2011年12月13日

社会保障分野、16日に具体案まとめる方向へ

 2011年12月12日、政府は社会保障・税一体改革の素案取りまとめに向けた関係5閣僚会合を首相官邸で開き、民主党側の意見も踏まえた上で、素案のうち社会保障分野に関する政府・民主党としての骨子を16日にも具体案としてまとめる方針を確認しました。

 医療機関受診時に100円を上乗せして支払う受診時定額負担制度と、70~74歳の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げる案は「民主党と調整中」として民主党側に判断を委ねましたが、民主党は両案の反対案として医療・介護ワーキングチームの役員会で、受診時定額負担抜きで高額療養費制度を拡充する方針をまとめており、来年の関連法案の提出の見送りの方向が固まったこととなります。

 骨子案の土台は厚生労働省が5日にまとめた社会保障制度改革案です。低所得者の基礎年金に月1万6千円を加算する制度については「保険料納付のインセンティブを阻害しないように検討する」との文言の追加により、一律的な加算により保険料納付への意欲が薄れないよう留意する方針が示されました。

 これに関連し、民主党は2011年12月12日、「社会保障と税の一体改革調査会」と税制調査会の合同総会の開催で、一体改革の素案の年内策定を目標にすることについて了承しました。

 政府は13日の党一体改革調査会役員会で骨子案を提示する予定で、同調査会と党税制調査会との合同総会で詰めの協議を行います。民主党も合同総会で16日までに社会保障分野の具体案をまとめ、19日以降は消費税率の引き上げについての議論に移行する方針です。
  


Posted by aiai_mc at 22:01「人事労務」最前線

2011年12月12日

平成24年度厚生労働省関係税制改正について

 12月10日(土)に平成24年度税制改正大綱が閣議決定されました。平成24年度税制改正大綱の厚生労働省関係部分について厚生労働省より発表がありました。税制改正の大綱の主な事項は次のとおりです。
・子ども・子育て新システムの構築のための税制上の所要の措置
・平成24年度以降の子どものための現金給付に係る税制上の所要の措置
・配偶者控除の見直し
・事業主が存在しない等の理由によって企業年金等に移行できない適格退職年金に関する税制優遇措置の継続
等です。詳細は厚生労働省のHPをご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001xqzo.html

また、政府税制調査会は2012年度の税制改正でサラリーマンの収入から一定割合を非課税とする給与所得控除に、上限を設けることで一致しました。具体的には年収1,500万円を超えるサラリーマンの所得控除を245万円で頭打ちとします。また勤続5年以下の役員について、退職金の優遇を廃止することも合意し高所得者への課税強化が盛り込まれることとなりました。
  


Posted by aiai_mc at 21:06「人事労務」最前線

2011年12月09日

3月から日本・ブラジル社会保障協定の発効

 厚生労働省は7日、日本とブラジルの社会保障協定の発効手続きが終わり、来年3月1日から発効すると発表しました。企業の駐在員らが両国の年金制度に同時加入する義務がなくなり、保険料の二重払いや、相手国での加入期間が足りず年金を受給できない不利益が解消します。

 駐在期間の見込みが5年以内の場合は、元の年金制度への加入を継続し、5年を超える場合は相手国の制度に一時加入。両国での加入期間が通算されるようになります。

 ブラジルでは年金保険料の事業主負担が20%。企業と社員の負担解消により、経済交流の促進が期待されます。


  


Posted by aiai_mc at 21:56「人事労務」最前線

2011年12月08日

改正派遣法案、次期国会で成立へ

 短期派遣の禁止などを定める改正労働者派遣法案は7日、民主、自民、公明による修正を経て衆院厚生労働委員会で可決されました。当初の法案に盛り込まれていた製造業派遣などを禁じる規定は削除されました。8日の衆院本会議で可決される見通しです。ただし会期末を控え参院の審議日程は厳しく、成立は来年の通常国会に持ち越される可能性が高いと思われます。


 改正法案では、派遣労働者の処遇の改善を目指し、法の名称と目的に「派遣労働者の保護」を明記します。細切れな雇用を減らすために、30日以内の雇用契約で働く短期派遣を原則禁止するほか、派遣会社に、派遣料金と派遣社員の賃金の差額の比率を公開するよう義務づけます。



  


Posted by aiai_mc at 20:58「人事労務」最前線

2011年12月07日

医療費、高所得者のみ負担増 民主が改革案

 医療費の患者負担に上限を定める高額療養費制度の見直しで、民主党の医療・介護作業チーム(柚木道義座長)が2011年12月6日、高所得者の負担を今より増やす検討を始めました。中低所得者の負担軽減の財源とするためです。厚生労働省の案は外来患者への1回100円の追加負担を財源にしていますが、高齢者が多い外来患者の負担増は避け、現役世代が多い高所得者に負担を求めることを狙っています。

 6日開いた民主党の一体改革調査会(細川律夫会長)の役員会に、新たな案の検討に入ったことを報告しました。5日まとまった厚労省案の対案を示した格好です。調査会は作業チームの案も踏まえて最終調整を進めます。

 高額療養費は医療費の患者負担に月額上限を定めた制度です。厚労省案は年収200万~600万円の中低所得者を中心に負担上限を引き下げるものです。必要な3600億円の給付費(税金と保険料の合計)は、外来患者への1回100円の追加負担で賄うとしています。

 作業チームの案は、負担軽減の対象を年収200万~300万円の中低所得者で高額治療を4カ月以上受けている人に絞ります。さらに年収1000万円以上の高所得者の負担上限を引き上げ、必要な給付費を厚労省案よりも大幅に抑えます。年収200万~800万円の所得層を対象に、医療費の年間上限を設けることも検討しています。

 作業チームの案が採用されれば、高額療養費制度の拡充は大きく後退します。一定の税金や保険料の投入も必要になる見込みです。
  


Posted by aiai_mc at 21:20「人事労務」最前線